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共同開発再建決議と営業譲渡の決断

【TCA情報局ブログ】

私の履歴書 vol.018
共同開発再建決議と営業譲渡の決断

2016年08月30日

士野コーチング事務所 代表

しの かえで

士野 楓

これまでもそうだったし、今もなお、決断を迫られる!
その時、それが最善だったのか・・・、正直、そう言える自信はないが、悔いはない!

何かに直面し、何らかの決断をしなければいけない時に、少なくとも私は、自分の私利私欲ではなく周りの関係者、全体の利益と将来性を優先することが"自分らしさ"であるということを信じて疑わない。

隣のU社と都市再開発計画を適用した共同開発再建の決議が全会一致で通ったことで、中央区をはじめ、再開発事業専門コンサルティングT社が本格的に動き始めた。
事件以来、実に9ヶ月ぶりの動きで、元住民達の顔には少しばかり笑顔も覗いていた。もちろん、それから5年半という長い間、試練が待ち受けていようとは、私をはじめ関係者の誰しもが予測していなかった。前代未聞の事件で、前例のない手探りの作戦だったのだ。

一方、自分の事業のことも決断しなければならない時期であった。
(この店が何店舗目だったっけ・・・)
(並木通り5丁目の店が21番目だ・・・。)
(私がこの仕事を始めたきっかけは何だったっけ・・・)
(母国に帰りたくなくて、苦肉の策で始めたのだね・・・。)
(何のために飲食店経営の仕事を続けているのだろう・・・)
(美味しい食事や空間を提供することで、ご来店のお客様一人ひとりが明日のエネルギー源を養っていただくため・・・。)
(人として、経営者として、最優先して考えなければならないことはなんだろう?)

頭を整理して、いくつか自問自答を繰り返すうちに、ハッと大事なことを見失っていたことに気がついた。お店という神輿を担ぎ支えてくれている従業員と、事業に関わっている多くのファミリー達のことであった。答えは自ずと出たような気がした。

会社の株式譲渡の話し合いが始まった。
結果、会社の一部であるコンサルティング部門を除き、全てを引き渡すことにした。

「詳細に入る前に、ひとつだけ条件というかお願いがあります。」
「何でしょうか?」
「現在経営している2つの店の従業員を、6か月間はそのまま継続雇用してくださいませんか。」
「え!全員ですか?」
「はい、全員です。」

常識的に考えると無茶な話だった。オーナーが変わり、看板が変わり、出す料理の内容が変わるのである。

「社長!気持ちはわかりますが、弊社は若手中心で経営している会社です。御社のお歳を召した方全員の雇用は、さすがに無理だと思いますが・・・。」
「ごめんなさい。ご理解いただけないのなら、この話はなかったことにしてもらえませんか。」
「どうしてそこまで継続雇用にこだわるのでしょうか?」
「会社というのは、自分一人でやってきたわけではありません。経営が破綻してどうしようもないのなら、従業員も一緒に責任をとるべきでしょう。しかし、今回の場合は、私個人的な都合で会社を手放すわけで、従業員には非がないのです。」

私は続けて、自分の信念を伝えた。

「私が考えている法人の使命と役割は、利益を出して社会貢献をすることですが、一番大事なことは、雇用創出だと思っています。試行錯誤を繰り返しながら、頑張って、頑張って、繁盛させて、私も従業員も生活をしてきたのです。夢を持って・・・。
8丁目の板長は、今年家を購入したばかりです。飲食店で働く人は、家なんか購入できないと最初からあきらめていましたが、会社も支援して、ようやくその夢が叶いました。私が個人的都合でオーナーを退くことになるわけですから、せめて半年は、次の準備ができるようにしてあげたいのです。」

3日後、先方から了解の旨の連絡が入った。
大事なことなので、主人にもきちんと話をした。

「会社を手放すほど、苦しい状況なの?」
「いいえ、そんなことはないよ。昨年末から仕事という仕事がほとんどできなかったのにも関わらず、皆が頑張ってくれたおかげで何とかやって来たけど、昨年対比ではかなり落ち込んでいるの。頑張れば何とかなるとは思うけど、マンションのこともこれからどれくらい時間が掛かるか見当もつかないし・・・。本当にダメになってからでは遅いのよ!先が不透明な私の会社より、大きくて伸びている会社のほうが従業員のためという気がしたの。店はまた開けばいいけど、わが家は、今ここで頑張らないと大変なことになるような気がする・・・。」

もはや相談ではなく報告だった。

こうして、銀座の並木通りに看板を架けるという私の長年の夢が、思いもよらない出来事のおかげで、閉ざされることになってしまった。

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